公的年金だけでは老後の生活を安心して暮らすことは難しいと言われて久しくなります。
老後の生活費の不足を補うために、国はいくつかの資金形成制度を用意しています。
国民年金基金、中小企業共済、iDeCo、つみたてNISAなどがそうです。
今回は、iDeCoについて自己学習してみました。
10年先の自分の老後を考えるということで始めた自己学習。
この学びを通して、iDeCoがとても優れた資金形成制度だということが分かりました。
と言って、50代半ばのわたしにはメリットはあまりありません。
遅くともいつ頃までに始めていたら、このiDeCoの恩恵を受けれたのか?と悔しさまぎれに調べたのが今回の話です。
結論を先に言っているようですが、この話を進めていく上でのモデルケースを以下のように設定しました。
彼女は国が用意しているこれら4つの制度の違いを理解した上で、個人型確定拠出年金「iDeCo」を選択しました。
という設定で、わたしが学んだ結果をお話したいと思います。
ここでは以下の流れてお話していきます。
- 年金保険の被保険者種別が変わった
- 自分の思い描く老後生活を考えた
- 国が後押ししている資金形成制度をしらべる
- 国民年金基金を比較して最終的にiDeCoに決めた
40代を過ぎるといつかはと思っていたことが、急に身近な話として現れます。
ある出来事を境に、自分を取り巻く環境が大きく変わってしまうことがあります。
そして、将来のことを考える上でお金のことを考える時が必ずやってきます。
今回はiDeCoを始める一つのケースとして、40代にして自身の将来を見つめ資金形成の準備を始めた女性の話を致します。
「これからの人生を豊かなものにするために、確定拠出年金iDeCoの特性を活かす」ことを考えた彼女の選択を是非ご一読ください。
40代からの 資金形成~彼女がiDeCoを選んだ理由
彼女は40代を過ぎて、相続によりいきなり個人事業主になりました。
親から不動産を引き継ぎ家主になったのです。
当初はテナントが埋まらず経営も大変だったようですが、数年後に少ないながら収益がでるようになったそうです。
年金保険の被保険者種別が変わった
それまで彼女は専業主婦で、年金保険の被保険者種別で言えば第三号被保険者でした。
それが家主になることで130万円を超える年収を得ることになり、第三号被保険者の資格を失うことになりました。
それから彼女は個人事業主として第一号被保険者となり、年金保険料を納付し始めます。
同時に、今まで行ったことのない確定申告をするようになりました。
自分で税金を納付し始めて、節税をすることの大切さを今まで以上に感じたそうです。
自身の所得から自分のこれからの人生のために、そして節税をするために何か良い資産形成方法はないかと思ったのが、iDeCoを意識する始まりだったそうです。
自分の思い描く老後生活を考えた
子育てが終わって、これから自由に使える時間が増える。
人生90年としても、60歳になった時にまだまだ30年以上時間がある。
今までやれなかったことを体が動くうちにやりたいというのが彼女の望む、そう遠くない将来の生活だったそうです。
そのためにお金が絶対的に必要で、その目的のために制度を利用する。
これが彼女の一貫した考えでした。
国が後押ししている資金形成制度をしらべる
そこで資金形成制度を調べ始めたのですが、彼女が選択のポイントしたのは2点。
- 自らの裁量で成果の上げられるもの
- 節税効果の高いもの
40代半ばを過ぎてからの開始ですから、予定利率で運用する制度ではこの短い期間では成果が小さい。
できるかぎり資金を増やすには、人任せではなく自分の裁量で何とかしたいと彼女は思いました。
自己責任で行うならば、どんな結果でも納得がいくと思ったと言っていました。
加えて、投資に関して勉強することは苦ではないと思ったそうです。
そして前述のとおり、節税効果は必須でした。
調べた制度は4つだったそうです。
国民年金基金、小規模企業共済、iDeCo、そしてつみたてNISA。
以下の選別過程を経て、彼女は「近い将来豊かな人生を送れるよう」iDeCoを選びました。
つみたてNISAは所得控除がない
つみたてNISAは、20歳以上の人ならば誰でも加入でき、自ら投資先を決め、少額から長期にわたって分散、積立投資ができる資金形成制度です。
つみたてNISA
投資額は年40万円まで、投資期間は最長20年間ですがいつでも引き出すことができます。
これは魅力だったようです。
使いたいときに使えなければ意味がない。
体が動くうちに使えるお金を貯めると彼女は考えていました。
つみたてNISAは、運用益と配当には税金がかかりません。
その一方、掛金は所得控除を受けられません。
成果に関わらずしっかり控除が受けられる掛金全額所得控除は、前述のとおり彼女には必須でした。
所得控除のないつみたてNISAは最初に選択肢から外れたそうです。
小規模企業共済は納付月20年未満の任意解約は元本割れ
小規模企業共済は、個人事業主や小さな会社の経営者が、廃業や退職時の生活資金を・日頃の事業運営の備えを作るための資金形成制度です。
小規模企業共済
業種によって条件は異なりますが、おおむね常時使用する従業員の数が20人以下または5人以下の個人事業主や会社役員が加入することができます。
毎月一定の掛け金を積み立てるのですが、受け取る共済金の金額は加入者が支払い請求をした際の理由によって変わってきます。
掛金は月額7万円まで、全額所得控除になります。
これは希望とおりでした。
ただ以下の点でこの制度を外しました。
- 運用予定利率が1%と国民年金基金(1.5%)よりも低かったこと
- 掛金納付月数が240か月(20年)未満の場合、任意解約をした場合は元本割れをすること
特に「240ヵ月」の条件は、40代半ばをすぎて20年となると使いたいときに使えなくなる可能性があります。
これは、小規模企業共済を外す大きな理由になったそうです。
彼女は自分の人生を豊かなものにするための「生き金」が必要だったからです。
国民年金基金の手堅さは目的に合わない
1階建ての年金(老齢基礎年金)の2階部分を作るために作られた国民年金基金。
これも検討の結果、選択肢から外れました。
国民年金基金
国民年金基金は、自営業・フリーランスなどの国民年金の第一号被保険者が、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せをして老後を安心して暮らせるようにするための資金形成制度です。
20歳から60歳未満(任意加入者は60歳から65歳未満)の間で掛金を納付します。
加入時に将来の受給額が確定し、終身年金という他の制度にはない特徴を持っています。
国民年金基金は、掛金も全額所得控除です。
しかし、彼女は以下の点で国民年金基金を外しました。
- 動けるときに集中してお金を使いたいので、終身などの手堅さは必要ない。
- 予定利率1.5%(2020年現在)で受け取りを待つより、自分の裁量でより大きく増やしたい
国民年金基金は、元々「基礎年金だけの不足分をカバーする」という制度です。
彼女の場合、夫婦の年金と家賃で「生きるための」収入は確保できる見込みはあったため、カバーではなくより大きくすることを望んでいました。