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老人ホームの費用を考える。独身女性一人暮らしのその後.

前回(#5)「独身女性の老後資金、いくら必用?一人暮らしは老後も気は楽?」の記事中、一人で暮らしていく以上「介護にかかる費用」は要注意と書きました。

単身である以上、自分で自分のことができなくなった場合、人の手を借りる時期は夫婦二人世帯と比べて早まるだろうと考えたからです。

 
参考記事
独身女性の老後資金、いくら必用?一人暮らしは老後も気は楽?

        では、独身それも一人暮らしの場合はどのくらいの老後資金が必要になるのか?ということは前述の2つ記事を書きながら考えていたことでした。 お金も時間も自分の判断で自由に使うことのできる一人 ...

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今回は前回(#5)の続き話として、介護の費用に関して考えてみました。

老人ホームで暮らすための費用、その費用を払うために老後資金としていくら準備しておけばよいのか?

 

少し前の話ですが、近親者が有料老人ホームに入居した知り合いがいました。

当時、彼からその身内の方を入居させるまでの話を聞いたことがあります。

 
Oji
入居時に払った一時金の額を聞いて、‘俺、老人になれるのか?’と思ったことを覚えています。
 

10年先の自分の老後を考えるということで始めた自己学習。

「年金暮らしで老人ホームに入れるのだろうか?」と不安に思う方々に、一つの参考例として今回の学習結果をご一読いただければと思います。

 

ここでは以下の流れてお話していきます。

 
  • 独身・一人暮らし女性が老人ホームに入居することになった
  • 有料老人ホームと特別養護老人ホームを比較してみた
  • 老人ホームで暮らす費用はおおよそ2400万円になった
  • 独身・一人暮らし女性が老人ホームで暮らしていくには老後資金は1600万円必要?
  • 不安は早期検討、早期実行で解消させる
 

では、「独身一人暮らし女性のその後」の話を始めます。

 

老人ホームの費用を考える。独身女性一人暮らしのその後

前回までの話を、もう一度まとめます。

 

前回設定は、独身女性一人暮らし・65歳で定年を迎える

以下のモデルケースで、女性の老後の収支を計算しました。

収入は年金に限定し、贅沢せずに暮らすという設定です。

 
  • 女性の設定:1966年4月生まれ。短大卒業後、21歳より65歳まで会社勤め。95歳で死去
  • 老後収入額は、年額1,364,415円
  • プラスの支出を考えると必要なお金はまだまだ変動する
  • プラスの支出の一つが「介護を受ける費用」
 
 

独自のモデルケースを設定する

今回もモデルケースを設定して、「独身・一人暮らし・老人ホーム入居」女性の最低限必要とする老後の資金額を算出していきます。

最終的にそのモデルはいくら必要!という金額が出てきますが、それはあくまでも一つの例です。

ご自身とこのモデルの年金環境を比較しながら「必要な額」を推察してください。

そのために、ご自身の年金受給額を確認してください。

 

その金額は「ねんきん定期便」で知ることができます。

ねんきん定期便は、毎年誕生月に日本年金機構から送られてきます。

 

では、ある「独身・一人暮らし・老人ホーム入居」女性の老後生活の収支を考えていきます。

 

「82歳で老人ホームに入居」の設定を追加する

前回設定に、女性が老人ホームに入居することを加えます。

入居年齢は82歳にしました。

 

 

年齢を設定する際に、’介護施設に入居する年齢は平均いくつぐらいなのだろう?’と疑問に思い資料を探してみました。

ずばりそのものは見つけることはできなかったのですが、施設の形態別に「高齢者に向けた住まいの年齢別の入居者数」を示す資料がありました。

野村総合研究所によるこの調査研究報告書によると、高齢者向け住まいのどの形態においても入居者数が増え始めるのは80歳-84歳です。

ならばその中を取る形で、女性が介護施設に入居した歳を82歳と設定しました。

 

入居するのは、最終的に特別養護老人ホーム

施設への入居のきっかけは「自分で自分のことができなくなった」ということです。

入居の申請は、彼女の様子がおかしいことに気付いた近親者が行ったということにします。

冒頭、わたしが知り合いから聞いた話を参考にしています。

そして金銭面のことを考えて、特別養護老人ホームへの入居をまず第一に考えました。

 

特別養護老人ホームと有料老人ホーム

特別養護老人ホームの概要を、有料老人ホームとの比較でお話します。

まず大きな違いを2点あげます。

1.公的か民間かという違い。

特別養護老人ホームは公的主体者が設置している施設で、有料老人ホームは営利法人が多く主体者になっている施設であるということ。

設置主体者の違いは、施設を利用する費用にも大きく影響してきます。

 

2.介護オンリーか否かという違い。

特別養護老人ホームの入居資格は、原則「要介護3~5」に認定された高齢者。

つまり、介護をすることが目的の施設と言えます。

要介護3とは

  • 多くの日常生活で全面的な介護を必要とするー(例)立ち上がり、歩行、身だしなみ、部屋の掃除、食事、入浴、排泄などに介護が必要
  • 認知症の症状も含め、問題行動や理解力の低下を見て取ることができる。
 

一方、有料老人ホームの入居資格は、多くの施設で60歳以上/65歳以上という年齢的な条件のみをあげています。
(費用の支払い能力も条件でしょう)

支援から介護まで幅広い目的を持つ施設と言えます。

 
概要 特別養護老人ホーム 有料老人ホーム
基本的性格 要介護高齢者のための生活施設 高齢者のための住居
目的 入居者の養護 「入浴、排せつ又は食事の介護」「食事の提供」「洗濯、掃除等の家事」「健康管理」のいずれかを行う
主な設置主体 地方公共団体・社会福祉法人 限定なし(営利法人中心)都道府県知事等への届出が必要
対象者 65歳以上・要介護3~5の認定 60歳または65歳以上の老人
かかる費用 入居一時金なし・月々の利用料のみ 入居一時金と月々の利用料
 

特別養護老人ホームはすぐには入居できなかった

特別養護老人ホームは、入居待機者数が多いことでも知られています。

この女性の場合も入居資格は満たしながら、すぐには入居できなかったとします。

 

特別養護老人ホームの入居待機者数が多い理由

特別養護老人ホームに入居待機者数が多い理由は、利用料の安さゆえに申し込み自体が多いということがまずあります。

※2015年4月以降、入居資格が要介護3に引き上げられ申し込み者数を絞っています。

 

それ以外もよく聞かれる理由は、

  • 手続きが簡素化されたことによる申込者数増
  • 介護度合いや身内の介護者の有無などの優先入所合計点が、申し込み順よりも先行される
 

それから、こんな資料もありました。

 

所得の入居優先順位への影響

厚生労働省 社会保障審議会「介護給付費分科会」第183回(2020.8.27)のレポートにある「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の入所者の所得状況」という資料です。

 

 

介護老人福祉(特別養護老人ホーム)の入居者のうち、低所得者(利用者負担段階:第1~3段)が全体の約70%を占めていると書かれています。

ちなみに利用者負担段階とは、介護保険施設においてかかる居住費・食費について負担の上限額(負担限度額)のランクのことです。 

4→3→2→1の順番で負担額が少なくなります。

普通に住民税を納付している世帯は第4段階となり、負担軽減は受けられません。

 
設定区分 対象者
第4段階 市区町村民税課税世帯
第3段階 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円超
第2段階 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円以下
第1段階 生活保護者等 / 世帯全員が市町村民税非課税で、老齢福祉年金受給者
 

今回の女性もそうですが、今まで老後資金の算出をおこなったモデルケース(会社勤めの夫婦・個人事業主の夫婦)においてすべての場合で、利用者負担段階は第3段階以下に属しています。

モデルケースの場合で、所得が待機事由になる可能性は少ないと思います。

しかし、より多い年金所得がある方やほかに給与所得がある方は、待機が長くなる、または入居が難しいということも起きてくるかもしれません。

つまり、申し込み順に関係なく、高い確率で優先入所合計点で越されて行ってしまうかもしれません。

 

有料老人ホームで待機する

という理由で、女性は特別養護老人ホームに入居申請するもすぐには施設に入ることができませんでした。

そこで順番が回ってくるまでの間、比較的空室を探しやすい有料老人ホームで待つことにしました。

待機期間は1年半

少し資料は古くなりますが、全日本民主医療機関連合会「特別養護老人ホーム待機者状況調査」報告書(2010年2月)によると、特別養護老人ホームの待機期間の平均は1年以上2年未満が26.2%と最も多くなっています。

これにならって、女性の待機期間を1.5年と設定しました。

 

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