五十を過ぎてドラムを習いだした妻。
いつしか口を開けば、彼女はこう言うようになりました。
その言葉から始まった、妻のプライベートスタジオ作成への道。
その道すがら、終始わたしたち夫婦を悩ませたのが「音響・建築」の専門用語。
音響・建築に関して全くの素人であるわたしたちが、それら専門用語を調べ解釈して行った経過を記録に残しています。
今回は地盤調査方法の一つ、ボーリング調査について。
ボーリング調査は他の調査方法と比べ、時間も費用もかかる調査方法と言われています。
それでも目的から逆算していくと、わたしたちはこの調査方法が必要だと判断しました。
建物の構造とボーリング調査の関係、いろいろと学びました。
※文中に示す値や内容は、わたしたちがスタジオを作成してく過程で学んだことです。それぞれの分野に対し、わたしたちはあくまでも素人です。誤った数値や、解釈違いの内容があるかもしれません。ご了承お願いいたします。
スタジオ作りはRC造を前提にする
すでに住居があり、それにも関わらず50半ばにして新たな建築物を作るこということは並々ならぬ覚悟があるわけです。
それはまさしく、生ドラムが練習できるほどのプライベートスタジオを作る!ということ。
その答えを求めて逆算していくと、地盤調査が大きな意味を持っていました。
建築構造と防音性能
住宅構造は使用する建築材別に
- 木造(W造)
- 鉄骨造(S造)
- 鉄筋コンクリート造(RC造)
- 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
おおまかに4つに分類することができます。
コンクリートは密度が高く重い(=質量が大きい)ため、音を跳ね返す効果、つまり遮音性能が高いと言われます。
こういう流れで、プライベートスタジオ作りはRC造の家屋を前提に考え出しました。
輸入木材の高騰もRC造を後押し
ウッドショック。
こんな言葉が住宅・建築業界で飛び交うほど、現在(2021年6月)木材の高騰が続いています。
しかしこの住宅用木材の高騰の話を聞いて、建物丸々RC造でとりあえず考えてみようという話になったのです。
ボーリング調査とは
いくつかある地盤調査方法の一つで、他の調査方法と大きく異なるのは「穴を掘る」・「土を採取する」ということです。
標準貫入試験や孔内水平載荷試験と組み合わせて行われます。
スクリューウエイト貫入試験とボーリング・標準貫入試験
地盤調査でよく引き合いに出される試験方法に、スクリューウエイト貫入試験とボーリング・標準貫入試験の2方法があります。
スクリューウエイト貫入試験とは
スクリューウエイト貫入試験(旧スウェ-デン式サウンディング試験)は、現在一般住宅向けの地盤調査で一番利用されている試験方法です。
試験方法は、先端にスクリューをつけた鉄棒を25㎝貫入させるのに必要な重さ・自沈しない場合はスクリューにかける回転数で地盤の状態を測定します。
25㎝ごとおおよそ10mの深さまで繰り返し、通常、土地の四隅と中心地点=5か所で行います。
ボーリング・標準貫入試験とは
ボーリング・標準貫入試験は、土を採取するサンプラーを取り付けた鉄棒を30㎝貫入させるのに必要な打撃回数で地盤の状態を測定する試験方法です。
この試験では、N値(地盤の安定性を推測する数値)と土質のサンプルを得ることができます。
あらかじめ所定の位置まで掘られたボーリング孔を使って行われ、深さ1mごとにサンプラーを30㎝貫入させるために要した打撃回数をN値として記録していきます。
ちなみに地層によっても良好な支持層の目安も異なり、粘性土層ならN≧20、砂・砂礫層ならN≧30程度と言われています。
2つの方式の特徴
2つの代表的な地盤調査方法を比較してみます。
スクリューウエイト | 標準貫入 | |
調査費用 | 5~10万円 | 15~25万円 |
調査時間 | 半日~1日 | 数日~数週間 |
必要スペース | 身体が入れば | 3~5m四方必要 |
対象地盤 | 硬い地盤は不可 | 条件なし |
対象深度 | ~10m | ~100m |
取得N値 | 換算N値 | N値 |
試験用土質採取 | 採取不可 | 採取可 |
調査精度 | 〇 | ◎ |
RC造にはボーリング調査は必要なのか?
さて話は戻って、プライベートスタジオを収納する家屋はRC造を前提に と考えたわたしたち。
この話は、建築士の杉浦さんにも当初から話していました。
常に後追いのわたしには ’ 意味 ’も ’ 調査 ’ もよく理解できませんでした。
行政手続き上の地盤調査の必要性
先に言ってしまうと、住宅を建てる際の地盤調査に法的な義務はありません。
瑕疵担保責任
一方、新築住宅の工事請負者又は販売者には瑕疵担保責任が法律で課されています。
(住宅の新築工事の請負人の瑕疵担保責任)第九十四条
住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)においては、請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)について、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百十五条、第五百四十一条及び第五百四十二条並びに同法第五百五十九条において準用する同法第五百六十二条及び第五百六十三条に規定する担保の責任を負う。
第九十五条では同様に、住宅の販売者の瑕疵担保責任が明記されています。
この瑕疵担保責任に備えて事業者が保険に加入する際に、地盤調査を行われていることが必要とされているため、住宅を新築する際には原則として地盤調査が行われるようになりました。
構造計算書の作成にボーリング調査は不可欠
現在新築住宅を建てる際に、ほとんどの場合で地盤調査が行われていることを知りました。
ではなぜ、わたしたちのプライベートスタジオ作りには、簡易的なスクリューウエイト貫入試験でなく、費用も時間もかかるボーリング・標準貫入試験が必要なのか?
それはRC造2階建て以上(木造以外の建築物で二以上の階数を有し)の建築確認申請には構造計算書の添付を求められ、計算書作成には定められた地盤調査の測定結果が必要になってくるからです。
後日、建築士の杉浦さんに、なぜこのプライベートスタジオを作りにボーリング調査が必要だったのかをあらためて聞いてみました。
構造上の地盤調査の必要性
骨組みをコンクリートで作るRC造は、防音性が高い一方でとても重い建築物にもなります。
となると、その重いものを乗せる地盤の状態を正確に知ることはとても大切です。
目的から逆算するとボーリング調査は必然だった
プライベートスタジオを作るために土地は買いました。
天災にも耐えてくれるように、新旧の地形図を検討して土地を選びました。
しかし本当に地震にも水にも負けない土地なのか、RC造を建てられる土地なのか。
多くのことを調べた結果、わたしたちが望んでいるプライベートスタジオ作りにはボーリング調査を行うことは必然だということが分かりました。
地盤の状態は地中埋設物同様、掘ってみなければ分からないことだらけです。
調査結果が思わしくなければ、地盤改良というこれまたお金のかかる工事が待っています。
これからも学ぶことは尽きません。
※文中に示す値や内容は、わたしたちがスタジオを作成してく過程で学んだことです。それぞれの分野に対し、わたしたちはあくまでも素人です。誤った数値や、解釈違いの内容があるかもしれません。ご了承お願いいたします。