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第三号被保険者 ’60歳’に要注意。年金手続きを忘れずに!

第三号被保険者 ’60歳’に要注意。年金手続きを忘れずに

公的年金には、日本に住む20歳以上の人がすべて加入する国民年金と会社員や公務員が加入する厚生年金があります。

国民年金には被保険者の中で3つの種別があり、個人事業主や学生などの第一号被保険者、厚生年金加入者を第二号保険者、その人に扶養されている配偶者を第三号被保険者、と区分けされています。

この3種別の中で、第三号被保険者だけが自身で保険料を納めることなく保険加入者になっています。

第二号被保険者に付随するような形であるがゆえに、第三号被保険者は節目節目で注意するべきことがあります。

うちは歳の差夫婦。夫が65歳まで働いても、わたしは60歳になっていないわ。国民年金の納付がまだ残っているのだけど、どうしたらよいの?
うちはわたしが年上で先に被保険者の資格を失ってしまうみたい。40年払って年金を満額受給したいのだけど、何か方法はないのかなぁ?

注意すべきことに、国民年金の納付終了時の「60歳」・「歳の差夫婦」のようなこともあるようです。

今回は歳の差夫婦、第三号被保険者が注意すべき「60歳を意識した年金手続き」について調べてみました。

ここでは以下の流れてお話していきます。

  • 歳の差夫婦の第三号被保険者が60歳になるまえに保険加入資格を失ったら
  • 第三号被保険者から第一号被保険者への切り替え手続きをおこなう
  • 歳の差夫婦の第三号被保険者が先に60歳を迎えて保険資格を失ったら
  • 老齢基礎年金の満額受給を目的に、任意加入制度を利用して国民年金に入りなおす
  • 老齢基礎年金の穴埋めに老齢厚生年金の上乗せを目的に、働き始める

国民年金加入資格という意味で、第三号被保険者は第二号被保険者の環境の変化に大きく影響を受けます。

また、配偶者が第二号被保険者でいるからといって気付かないうちに自身の環境の変化で資格が終了していることもありえます。

第三号被保険者は国民年金の納付終了年齢60歳を意識することで、自身の年金環境、ひいては老後の生活のあり方を考えるよい機会になると思いました。

第三号被保険者 ’60歳’に注意すべきこと

先に申し上げたとおり、3つある国民年金の被保険者種別の中で保険料を納付しているのは第一号被保険者だけで、第二号・第三号被保険者は厚生年金の中から基礎年金部分が拠出されています。

この仕組みを例えるならば、大きな財布が2つあると考えれば分かりやすいかもしれません。

第一号被保険者が納付した保険料が入る財布は基礎年金の支払に使われ、第二号保険者の財布は第二号保険者の基礎年金と厚生年金、第三号被保険者の基礎年金の支払に使われるしくみとなります。

このように、同じ国民年金被保険者と言っても被保険者の種別によって保険料の出どころ、納付の仕方・納付できる条件も異なってきます。

60歳になる前に現在の被保険者資格を失ってしまったら

うちは歳の差夫婦。夫が65歳まで働いても、わたしは60歳になっていないわ。国民年金の納付がまだ残っているのだけど、どうしたらよいの?

という不安ですね。

国民年金は40年=480ヵ月で満期となる

国民年金(基礎年金)は20歳から60歳になるまでの間で、免除・猶予期間を含め10年間、保険料を払っていれば年金を受給することができます。(但し、免除・猶予期間は受給金額には反映されません)

漏れなく40年間(480ヵ月)払い続ければ、年額781,700円(※令和2年度)の満額支給となります。

60歳になる前に現在の被保険者資格を失ってしまった

配偶者が厚生年金加入である第二号被保険者であることで、保険加入者資格を有している第三号被保険者。

では、自身が国民年金の納付が満了する前に、配偶者が第二被保険者ではなくなってしまったらどうしたらよいのでしょうか?

モデルケースを設定して考えてみました。

モデルケース:夫が7歳年上の夫婦の場合

夫は65歳まで働き、無事仕事からリタイアしました

第三号被保険者の加入資格は、以下の三つの条件を必要とします。

  • 第二号被保険者に扶養されている
  • 20歳以上60歳未満の配偶者
  • 年収が130万円未満の人

夫が第二号被保険者でなくなってしまったので、妻は58歳にして第三号被保険者の加入資格を失うことになりました。

第一号被保険者へ切り替え手続きを行う

国民保険は60歳までになるまで納付しなくてはいけませんので、妻はこの時点で第一号被保険者への切り替え手続きを行いました。

加えて、健康保険から国民健康保険へ切り替わりました。

60歳の納付期間終了を迎えても480ヵ月を満たせなかったら

うちはわたしが年上で先に被保険者の資格を失ってしまうみたい。40年払って年金を満額受給したいのだけど、何か方法はないのかなぁ?

という願望ですね。

60歳を迎えて自ら保険加入資格を失ってしまった

先ほどは配偶者理由で保険加入資格を失った場合でしたが、この場合は自ら有資格の条件を満たさなくなってしまったケースです。

  • 第二号被保険者に扶養されている
  • 20歳以上60歳未満の配偶
  • 年収が130万円未満の人

同じくモデルケースを設定して考えてみます。

モデルケース:妻が3歳年上の夫婦の場合

夫は57歳でバリバリの現役会社員で第二号被保険者ですが、妻が60歳を迎え第三号被保険者の加入資格を失いました。

妻は大学に通っていた20歳~22歳までの3年間、学生納付特例制度によって保険料の猶予を受けていたのですが、その後払い忘れていました。

そのため、この時点で国民年金を満額受け取るには36ヵ月分の支払いが足りませんでした。

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猶予や学生特例期間は受給資格期間には含めることができますが、支給額には反映されないので注意です。

対処1:国民年金の「任意加入制度」を使った

足りない36ヵ月分をさかのぼって納付することはできませんが、新たに納付し直すことができます。(※さかのぼって納付できるのは猶予後10年まで)

任意加入制度

60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合などで年金額の増額を希望するときは、60歳以降でも国民年金に任意加入をすることができます。(厚生年金保険、共済組合等加入者を除く)
ただし、申出のあった月からの加入となり、遡って加入することはできません。

日本年金機構「人加入制度」より

任意加入制度を利用して国民年金に再加入し、足りなかった3年分の保険料を納付し直しました。

これで妻は、老齢基礎年金を終身で満額受給できることになります。

対処2:会社勤めを始め「経過的加算制度」を使った

老齢基礎年金を満額受け取ることをやめて、その代わりに3年間会社勤めをして「経過的加算制度」を使い老齢年金の不足分を老齢厚生年金に上乗せをしました。

経過的加算とは

60歳以降に受ける特別支給の老齢厚生年金は、定額部分と報酬比例部分を合算して計算します。

65歳以降の老齢厚生年金は、それまでの定額部分が老齢基礎年金に、報酬比例部分が老齢厚生年金に相当します。

しかし、当分の間は老齢基礎年金の額より定額部分の額のほうが多いため、65歳以降の老齢厚生年金には定額部分から老齢基礎年金を引いた額が加算されます。

これを経過的加算といい、65歳以降も60歳からの年金額が保障されることになります。

日本年金機構「経過加算」より

経過的加算とは説明が難しいのですがこの制度を使うと、20歳~60歳未満に含まれない期間で厚生年金保険料を払った期間を老齢基礎年金の穴埋めに使えることになります。

先ほどの任意加入制度を使った場合と違うのは老齢基礎年金の部分が増えるのではなく、あくまでも老齢厚生年金に上乗せされるということです。

また、働くことによって収入が増えると共に、働くという生活環境の変化をもたらします。

まとめ:第三号被保険者 ’60歳’に要注意。老後の生活を念頭に年金手続きを

’10年先の人生を考える’という目的で自己学習を始めました。

お金のことをあらためて学ぼうと年金のことを調べ始めました。

調べていく過程で自分のおかれた環境だけではなく、他の色々な立場の人たちの老後のお金のことを思い浮かべてしまうようになりました。

自営業者の方々、一人暮らしの方々、そして今回のような夫婦形態のような場合。

実はわたしと妻は同じ年で、‘歳の離れた’ということによる年金環境の変化などは考えたこともありませんでした。

国民年金の加入資格の終了時期の違い、第二号被保険者に与えられる加給年金の有無など。

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第三号被保険者は、自身で保険料を払うことなく年金資格を持つことのできる特異な被保険者です。

それゆえに多からず、自身の年金環境のことを意識することなく節目を迎えてしまう人もいるのではないかと思ったのが今回の記事となりました。

第三号被保険者の方々には60歳という節目を意識することが、自身の年金環境、そして老後の生活の在り方を考えるよい機会になるのではないかと思いました。

第三号被保険者 ’60歳’に要注意。年金手続きを忘れずに!でした。

 

  • この記事を書いた人

Oji

’64年生まれ。2020年二度目の東京五輪をRebornの時と考え、30年近く続けた工場経営からリタイヤしました。新しい人生がより豊かなものになるよう自己学習をしながら情報を発信していきます。

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