この日記は、妻に革製スティックケースをプレゼントするまでの記録。
ラウンドファスナー式の長財布の製作
近い将来、妻にスティックケースをプレゼントするために、内袋・ファスナーのあるものをつくっておきたいとラウンドファスナー式の長財布の製作を試みることにした。
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レザークラフト日記 10【ラウンドファスナー式の長財布①】
レザークラフト実行中。よりスティックケースの製作に近づけるよう、内袋・ファスナーのあるものをつくりたい。ラウンドファスナー式の長財布をつくることにした。パーツは9種類13枚、これだけでも今回の製作がたいそうなチャレンジになることが推測される。
13パーツの裁ち、床面の処理、ふちのコバ処理は済ませたところで前回は終了。
順序は逆になるが、ヌメ革の表面保護処理を今更ながらおこなおうと「Lizedコバ仕上剤 グレージングトップ」を購入。
その到着待ちとなった。
ちなみにこの製品は、わたしが教材としている「レザークラフト塾」で紹介されていたもの。
Day11. ラウンドファスナー式の長財布の完成まで
前回までの工程は「裁ち、床面の処理、ふちのコバ処理」と今まで重ねておこなってきたことだったため、別段支障もなく済ますことができた。
今回は「内袋(カード入れ・小銭入れ)・ファスナーの取付け」など初めておこなう工程が入る。
いきなり本番となるが、厄介な工程ほど実戦で学んだ方が身に入るとわたしは思う。
ハギレでおこなう練習とくらべ、失敗した時の懐と心へのダメージが違う。
それだけ真剣に取りかかれる というものだ。
待っていた「クレージングトップ」が届いたので、さぁ、ラウンドファスナー式の長財布の製作を再開しよう。
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Day11-1. クレージングトップによる色の変化はなし
革製品の手入れに使うクリームやオイルには、塗布後に革の色を変えてしまう(濃くなる)ものが少なからずある。
今回のラウンドファスナー式長財布は妻にプレゼントする予定で、可能な限り革の きれいな原色のまま渡したいと思っていた。
まず、変色の確認。
使用する3種類の革の端材にクレージングトップを塗ってみた。
栃木レザーに塗布したものがどこかにいってしまったため、カフーとロロマだけで撮影。
塗布後に多少色が濃くなったが、気になるほどでもなし。
ギラギラする光沢も出なかった。
安心して、使用するすべての革の銀面に対して塗布することにした。
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Day11-2. ファスナーの取付は鬼門
今回おこなった工程の中で一番苦労し、出来もよくなかったのが「ファスナーの取付」。
購入したファスナーは2種類。
小銭入れ部分に使う、小ぶりの「3号ファスナー」。
これは製品として完成したものを買ってきた。
もう一つが「ラウンドファスナー」となる、大きめの「5号ファスナー」。
製品本体にはテープ・エレメント(務歯)・スライダーしか付いていなく、上止め・下止め・引手は別途購入した。
まず取りかかったのは「3号ファスナー」で、革をくり抜いた部分に裏から当てて縫い付ける。
教材動画ではエレメントの長さは15㎝~20㎝の指定だったが、この長さのままだとおそらくこのくり抜きの中にファスナーを収めることができない。
そこでファスナーのサイズ調整を始めた。
教材としている「レザークラフト塾」を始めとする、わたしが参考にした動画ではファスナーのカットは上止めをニッパなどの工具で簡単に外すことから始まる。
わたしにはそれがどうしてもできない。
結局、力づくで外すことになり、金具も変形させてしまった。
わたしが購入したYKK製「EXCELLA」は、動画で使われていたファスナーたちと仕組みが違うのではないかと疑っている。
次の壁はラウンドファスナーの『菊寄せ』。
菊寄せとは、ファスナーを曲線部分に貼り付ける際に出現するテープの「余り」をうまく処理する方法である。
この「余り」部分をまとめることがまったくできなかった。
小さくまとめられなかった影響で、外から見るとファスナーの端が出っ張ってしまっている。
これは作り終えた後にたまたま見つけたのだが、菊寄せがうまくできる道具「きくよせくん」なるものが販売されていた。
わたしだけではなく多くの方が苦手意識をもっているようで、ホッとする。
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Day11-3. 完成 そこそこの出来
完成した。
細かなところに目をつぶればそこそこの出来ではないかと思うが、さてどうだろう?
製品の出来には耐久性も含まれる。
この長財布を使っていく上で、糸のほつれ・パーツの脱落などをチェックしていくつもり。
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Day11-4. 道具をかんがえる
1つ目のラウンドファスナー式の長財布の製作を終えた。
Day11と11日目1日で作ったかのような題名になっているが、もちろんそんなわけはなく、教材動画に合わせながら1週間ほど時間を要した。
この長丁場で思っていたことがある。
それは道具の存在意義やメインテナンスの大切さである。
別立ちの存在意義
今回、今まで最多の13パーツを裁った。
レザークラフトを始めた当初は「別立ち」を使って革を裁っていたが、今は黒刃のカッターがメイン。
革包丁よりは取り扱いが楽だということで別立ちを使い始めたのだが、使い始めると切れるカッターの方がより扱いやすいことに気づいた。
ではなぜ、特殊な形状の道具である革包丁や別立ちが存在するのだろうか?
それはカッターよりもこの形状の道具の方が切る方向を見やすいからではないかと気づいた。
別立ちもカッターも、道具を手前に引きながら革を裁つことは同じ。
しかし、裁ち方向が常に手の甲で隠れてしまうカッターに比べ、道具を立てて握っている別立ちは格段に裁ち方向が確認しやすい。
特に曲線が続くようなカットラインはそれが顕著。
なるほどである。
道具のメインテナンスの大切さ
とは言え、それでも革の裁ちはカッターを使い続けている。
しかし、「革を漉く」ことはやはり別立ちを使う『斜め漉』の技術を習得した方がよさそう。
やってみるとわかる。
刃が切れないとどうにもならない。
ヘリ落とし。
今回も数多くヘリ落としをおこなった。
刃を研いでおくだけで、これだけスムーズにおこなえる。
新しい道具、スモールドレッサー。
のりしろ部分を刃の裏側で荒らすことも良いのだが、これだけ数多くおこなうならば専用道具の方が格段に速い。
こんなに速く・正確に・しっかり荒らすことができるなら、最初から使えばよかった。
次回製作は、「ドラムスティック」を収納するものを何か作ろうと思う。
最終目標は【妻に革製スティックケースをプレゼント】すること。
一歩一歩、本丸に近づきたい。
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58から始めた わたしのレザークラフト
この日記は、妻が満足する革製スティックケースをプレゼントするまでの記録。 【58から始めたレザークラフト】を最初から読む