五十を過ぎてドラムを習いだした妻。
彼女が時々、言うのです。
’わたし好みのケースがほしいなぁ。’
彼女に言わせれば、市販されているドラムのケース類には可愛らしさが足りないそうです。
ならば、ぼくがつくる。
目標を一つ立てました。
妻が気に入る、格好よくてかわいい、革製のボディーバック式スティックケースを作る。
まずは、もう少し手軽なスティックケースを一度作ってみることにしました。
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合わせて読みたい068.スティックケースを作り始めました
ドラムを習いだした妻が時々、言うのです。’わたし好みのケースがほしいなぁ’ 彼女に言わせれば、市販されているドラムのケース類には可愛らしさが足りないそうです。ならば、ぼくがつくる。まずは、手軽なスティックケースを一度作ってみることにしました。
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その後編。
2. ロール式のスティックケースの完成まで
パーツの裁ち、床面の処理、一部コバ処理、小物入れ部分のファスナー付けを済ませたところで前回は終了しました。
刻印入れ・ハトメの取付などのオプション的な工程が残っていますが、この後は黙々と縫っていけば完成を迎えるはずでした。
しかし、実際はそうはいきませんでした。
このロールスティックケースの製作には、使える型紙もなければ、倣っていく教則動画もありません。
自分で図面を引き、こうなるだろうという想像でことを進めてきました。
その結果として、失敗・これは止めておこう・こうしたらより良いものができるんじゃないかという、手直し、確認、検討の繰り返しとなりました。
黙々では済みませんでしたが、一から作るということの危うさでもあり、楽しさでもあるのかもしれません。
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2-1. 革ひも留めの中止とハトメの追加
当初の予定では、ケースを三つ折りした後に上下に縫いこんだ革ひもを巻いてケースを留めることを考えていました。
図面を描き、紙を使って全体のダミーを作った上でそれが可能と判断していました。
しかし実際に切り出したパーツを使って試しに巻いてみると、この革ひもの厚さ・長さではどうも心もとなく感じます。
完成してみなくては確かなことは言えませんが、縫った後にダメだと分かり糸を解き、縫い直すのはとても辛い作業になります。
それに、革ひもの強度アップに重ね縫いにしたり、これ以上長いひもを切り取る直線部分が革に残っていません。
どうしよう?
革ひもに比べれば少々安っぽい見栄えになるかもしれませんが、ケースの留めにはカラーひもを使い、ハトメを1か所から3か所に増やすことに決めました。
ケースが閉まらなかったら、使い物になりませんから。
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2-2. ハトメの取付、大失敗!
これは完成品のハトメ部分の裏側です。
革ひもを挟み込んで縫い付けるという前提だったため、補強の意味も込めて裏側にもう一枚革を当てることにしていました。(ここにちょっとしたものを入れることもできる)
本体部分3か所にハトメを取り付け、裏の革との仮止めも完了。
なんの疑問もナシ。
結果このとおりです。(泣)
裏側の革に穴がないことに、ボンドで仮止めを終えた後に気づきました。
これじゃ、ひもが通りません。
結局、ボンドでしっかりとくっ付いてしまっているハトメ周辺の2枚の革を引き離し、ハトメを取り外すことになりました。
結果として、この部分は波を打ち、革の強度も落ちてしまいました。(泣泣)
自分で考えながらやるというのは、こういうことですよね。
本当に良い勉強になりました。・・・(泣泣泣)
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2-3. 小物入れをもう一つつくろう
大きな痛手を負いながら、とりあえず残りはスティックを入れるポケットの縫いだけというところまでたどり着きました。
ここでふと思ったのです。
’ 妻は4組(計8本)ものドラムスティックを常に持ち歩いているだろうか? いや、見たことがない。 ならば、使わないポケットを小物が入れられるような仕様に変更しよう!’
彼女は、練習時にスティック以外に必ず持って行くものがあります。
ドラムの調整には欠かせない「チューニングキー」です。
当初、このチューニングキーはファスナー付小物入れに入れるようにと考えていました。
しかし一番表側の一番目立つ部分がこのチューニングキーを入れることでぼっこり膨れるより、内側に収納してしまった方が見た目が良いんじゃないか?
そこで作業途中で、以下のように仕様の変更をおこなったのです。
一か所の縫いを途中までにし、縫わない部分を開口部にしました。
そして、別途作った小物入れをそこに収納できるように。
こんなふうに。
すでに開けてしまっていた糸孔は残ってしまいましたが、この判断はよかったんじゃないかと思っています。
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2-4. 刻印を入れる
妻は50を過ぎてドラムを習いだしました。
当時、二人で ’おばさんが始めたから、オバドラムだね ’ と話していたのです。
初めてのドラム用品向けの手作り品には、記念にこの言葉「Obadrum」の刻印を入れたいと思っていました。
ハトメ側の上下に2か所、それも上側はひっくり返って刻印されているのは、向きを間違えて打ち直したからです。
「Obadrum」の後にネコの足跡があるのは、刻印した位置の左右のバランス調整。
ともにナイスリカバリーと考えることにしました。
やっと『Obadrum』と入れることができました。
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2-5. 完成
完成。
母の日には少し間に合いませんでしたが、妻へプレゼントすることができました。
そして、手作り1作目は最終目標への資料となるもの。
さて次回製作は、「バッグ」と名の付くものを作ろうと考えています。
最終目標は【妻にボディーバック式のスティックケースをプレゼント】することですから。
一歩一歩、本丸に近づきたいと思っています。