五十を過ぎてドラムを習いだした妻。
わたしが「ロールスティックケース」を作っている さなか、ふらっとやって来て、
’いつも使っているバッグなんだけどさぁ、ちょっとくたびれてきちゃった。革で同じようなものを作ってくれないかなぁ。’
と言ってきました。
薄手のキャンバス地で作られたこのショルダーバック、気楽に使えて重宝していたようですが、使い込んでそろそろヨレてきたようです。
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合わせて読みたい069.自作のスティックケースを妻にプレゼント
彼女に言わせれば、市販されているドラムのケース類には可愛らしさが足りないそうです。ならば、ぼくがつくる。まずは、手軽なスティックケースを一度作ってみることにしました。母の日には少し間に合いませんでしたが、妻へプレゼントすることができました。
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今は修行の身、多くの経験を積むことは自分のためと、バックの製作を請け負いました。
『妻に革製スティックケース(ボディーバックタイプ)をプレゼントする』ことがレザークラフトの目標ですから、このショルダーバックにもドラムスティックを収納する仕様を加えることはマストです。
1.ドラムスティック2セットを内ポケットに収納
初めてのバッグ作りと言うことで、仕様を確認し、考え、直し、ながら作っていたら約ひと月の時間がかかってしまいました。
今回図面の引き方、バッグの作り方はYoutube動画「leather craft WHOLフール チャンネル」を参考にさせてもらいました。
参考動画1:「型紙の作り方を公開!簡単なショルダーバッグを作ってみよう!」
参考動画2:「簡単な型紙を使って簡単なショルダーバッグを作ってみよう!」
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2.底は別縫い、開口部は狭めて
革はイタリアンレザーでインディゴブルーに近い色。
柔らかい革、使用する大きさに合ったものを探していたら、たまたまこの革が条件に合ったという訳です。
柔らかい革を選んだのは、内縫いをしてひっくり返すことを考えると柔らかい方がやりやすいんじゃないかと思ったからです。
パーツは、本体(前・後ろ・底の3つ)とベルト。
多くの作成動画では本体は切り離さずに一体にしているが、一番早く傷むだろう底に革の強い部分を使いたかったのであえてそれぞれを裁断し縫い合わせました。
大きさは、今まで使っていたバックにほぼ一緒。
ほぼと言うのは、妻が使用しているスティックを立てて入れようとすると、もう若干深くする必要があったからです。
バッグがそこそこ深くなると、肩にかけた時にベルトに引っ張られて開口部が左右に広がりみっともなくなることがあると動画で見ました。
そのため、設計の段階で開口部を底に比べて少々せばめておきました。
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持ち手がないという意味ではトートバッグではないのですが、形状や仕様のシンプルさを考えればトートバックのようなショルダーバックを作っていた気がします。
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3.マグネットを使って開閉
製作前に妻にヒアリングをすると要望が出てきました。
’ ファスナーをつけて! ’ 。
今まで使っていたバッグには開口部を閉じるものがなく、かがんだりすると中のものが外に出てしまうことがあったと言います。
バッグを閉めるという意味では、確かにファスナーは良い仕様です。
しかしファスナーとなると、手間が段違いに増えます。
’ わかった。’ と言いつつ、マグネットホックによる開閉に黙って変更してしまいました。
マグネットホックの取付もはじめて。
お願いごとを聞くと経験も積める と実感しました。
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4.底なしポケットでスティックを収納
妻からの要望がもう一つありました。
’ ポケットをつけて!! ’ 。
これまで使っていたショルダーバックにはポケット類が一切なく、バッグの中で荷物が散乱して困っていたんだそうです。
そのため、布製の内ポケットをバッグの前・後ろにそれぞれ縫い付けました。
そしてその内ポケットのうち2つを底なしとし、ステックを通せるようにしました。
ドラムスティックを立てて収納することを迷わず選んだのは、先にロールスティックを作っていた経験値があったから。
ロールスティックケースを作っておいてよかったぁ。
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5.ショルダーベルト 完成までの迷走
今回の製作の中で一番苦労したのが、ショルダーベルト作り。
長~い糸を操るという大変さもありましたが、それよりも苦労したのがベルトのサイズ出しや金具との絡み。
経験を積めばさほどのことはないのかもしれませんが、なにしろベルトの製作は今回が初めて。
何度も直しを入れることになってしまいました。
バッグ本体の縫い合わせ部分(側面)とベルトを留めるカシメはオールマイティプレイトのくぼみを使わず、側面の平らな部分を当て叩いて取り付けました。
革を縫い合わせた布製のベルト(かばんテープ)は、幅38㍉厚み2㍉のポリエステル製、色も24色から選ぶことができました。
他に20㍉、25㍉、32㍉、50㍉幅あり。
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6.完成
ドラムスティックを立てて収納できるショルダーバッグの完成。
これまで作ってきた財布やスティックケースなどとは違い、中に入れるものが不確実な入れ物は初めて。
カシメは耐えるだろうか?底の縫製は大丈夫だろうか?
妻にはいつものとおり、
何かあったらすぐ直すから。気になったことは遠慮なく言ってくれ。
と言って手渡しました。